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2026.06.10 Wednesday
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うひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ
2012.11.08 Thursday
こんばんわ私です。おやじはどうしたって話ですがそれどころじゃないです。
ここ最近ちょっとてんやわんやしてて、ちょっと疲れてたんでイヨちゃんに「萌えをくれ」って感じのことをゆったら萌えどころが爆弾が帰ってきまして、おやじどころじゃねえっつうの
というわけでイヨちゃんちの小説に出てくるオリジナルキャラクター”いく”ちゃんと駒村の小説をいただいてしまいました。
嬉しすぎたので転載。
あと王将と姫路とケーヤが出てきます。ちょうかわいいです特に王将が
私の王将がまじ天使でどうすればいいの?
最後に駒村が下の名前をばらしちゃうおまけ漫画を私が描かせてもらいました、これはイヨちゃんに捧げまっすうおおおおおおおおおお
漫画はクリックで原寸になりますがちょっとおっきいかもです
というわけで駒村が甘い(?)内容となっておりますがよろしければ続きを読むからどうぞ!!!!!!!!
イヨちゃんありがとうございました!!!!!!!
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「…ふわぁ…」
エルフーンみたいにふわふわ。
ムンナみたいにふわふわ。
『さいみんじゅつ』かけられたポケモンって、きっとこんな感じなんだろうなぁ…。
「…ぁ」
ぐらりと、視界が回った。
昨夜10時頃、電話だと少しだけ優しい彼の声で、うかれて夜更かしするなと釘を刺されたのに。
おやすみと声をかけて電話を切った(「はいはい」と切られた)後、ご機嫌斜めなゾロアを抱き締めて気付いたら2時間悶えていた。
手紙の返事(電話番号のみ)が来たこと。
行ってみたかった場所へ、ついででも連れて行ってもらえること。
明日死んじゃうのかと思うくらい幸せなフルコースだ。
それくらい嬉しくて嬉しくて、眠れなくて、だからきっと駄目だったんだ。
夜更かしが祟ってうとうとした次の瞬間には、するりと掴んでいた手が緩んでしまった。
あ、落ちる。
「…っ、いく!!」
「わ…ぐぇっ」
鋭い声にハッとする。
強い力で、スローモーションのような思考の海から引き摺り出された。
「く、くび、くび」
「黙れ」
リュックサックを引っ張られて首が、首が。
そんなものお構い無しと、乱暴に再びウォーグルの上に持ち上げられた。
ぐっと正面から抱き抱えられて、駒村くんの腕の中でぱちぱちと瞬きする。
さっき置かれていた状況と珍しく駒村くんが焦っていたことといやそれよりも駒村くんが助けてくれたことえ、違うよ、今私駒村くんのえ、え?
色んな情報が頭の中をぐるぐるして、何よりも色濃いことがぽんと浮かぶ。それが少なくとも私には大事件で、漸く出てきたのは何の意味も持たないただの音だった。
「…ぇ、」
「……あ」
怖い顔でチョップの構えをとった駒村くんが、一瞬、しまったと言う顔をする。すぐに苦虫を噛み潰したような顔になった。
「こま、こまむらくん、が、い、いくって言った…」
「…チッ」
名前、大声で呼ばれた。
いつも『あんた』ばっかりで滅多に呼ばれないから、時々忘れられているのかと思ってたくらいだ。
び、びっくりした。
だから?と駒村くんが見下してきた。
「何か文句あんの?落ちるの?死ぬの?てか何が嬉しいの?」
『いくぅうう!大丈夫か!?おいマジキチ!さっさと離れろだゾ!!』
…嬉し、かった。
ゆるゆると口元が弛んで、笑顔になるのを止められない。物凄く不機嫌そうな駒村くんに、ありがとうと笑いかけると、彼は綺麗に笑い返して言った。
「次落ちた時は笑って見送ってあげる~www」
「ぃぎゃっ!!」
結局チョップを2回も貰う羽目になってしまった。
「おばあちゃん、こいつ預けとくね~w」
「私人間だよ…!」
ヒウンシティからちょっとだけ離れた道路にある『育て屋』さん。
チェレンが言ってた通り、色んな所から預けられたポケモンがたくさんいる。すごいなぁ…。
駒村くんは手持ちを放して荷を軽くすると、自転車に跨がって出掛けてしまった。
ヤグルマの森を探索するらしい。
人懐っこいチュリネをスケッチしながら、頭の上のゾロアを呼ぶ。
日向ぼっこしていた親友から眠たげな返事がきた。
「…ちょっとは、仲良くなれたのかなあ?」
仲良くの相手は言わなくても分かったらしい、ゾロアは鼻を鳴らした。
『名前呼ばれる回数増えたくらいで何が嬉しいんだ。ボクなんか自己紹介した次の台詞でもう呼んでたゾ』
「駒村くんとゾロアは違うよー」
拗ねた姿が可愛くて笑うと、もふっとした尻尾で叩かれた。
『何だ!?ボクに呼ばれても嬉しくないのか!?いくいくいくいくいく』
「わあああ前髪もしゃもしゃはやめて!!」
『丁寧に寝癖直して気に入らないゾ!』
「いつも直せって言うのに…」
地面に降り立つと、ゾロアはつんと鼻を上に向けた。
『大体、互いを名前で呼んでこそ仲が良いと言えるものだ』
「え?だから駒村くんが」
『あのクズでウザくてキモくてマジキチでネチネチ系男子でヤンデレ予備軍の駒村は』
言い様が酷すぎる…!
ゾロアは一度言葉を切って、バシリと言い放った。
『明らかに名字だゾ!!!!』
……
………
「…はっ」
『名字でトレーナー登録しているヤツが稀に居るらしい。駒村がまさに該当者だ』
ゾロアはキリッとした顔で私を見上げた。
『いく、お前は未だ名字呼びなんだゾっ』
「こ、駒村くんの下の名前って?」
『ボクが知るわけ無いゾ』
当然だろうと逆に怒られてしまった。
…そう言えば彼は自己紹介の時も、駒村、って言っただけだったっけ。
「…名前…」
一度生まれた疑問はゆらゆらと広がって、スケッチなんてそっちのけでうんうん唸る。
暫くして見かねたのか、降参、とでも言うようにゾロアが溜め息を吐いた。
『どうせ本人に聞いてもはぐらかされると思うゾ。…きっとパパンなら知ってるはずだっ!』
ぱっと顔を輝かせて、駒村くんのゾロアークの元へ駆け出した。
『パパーンっ!』
『俺パパじゃないし子供持つような歳じゃないんだけど!?』
ミミロルとエモンガにからかわれてお疲れなゾロアークが、また来たと言わんばかりに飛び上がる。
ゾロアは弾んだ声で言った。
『パパン、いくのお願いを聞いてやれ』
『パパって呼ぶ割には偉そうだよ!?』
「ごめんね。あの、駒村くんの下の名前知らない?」
ゾロアークの後ろ髪の中で遊ぶミミロルとエモンガを引っ張り出して、聞いてみた。
駒村くんの名前に一度びくりとなって、ゾロアークは首を傾げる。
『えっ、コマちゃん?…コマちゃんじゃないの?』
「えっ、駒村コマなの?」
『違うと思うゾ…』
ゾロアの呆れた目で見つめられてパパン…じゃなかった、ゾロアークはぶんぶんと首を振った。
『下の名前なんて恐ろし…オレはそんなにコマちゃんのこと知りたくな…知らないしさぁ!』
「そっかぁ…」
ちょっとだけ残念。
「…あっブルンゲルさん!」
隅っこでムンナ(駒村くん曰くミニマムンナ)とのんびりしてるブルンゲル。物凄い凸凹コンビだ。
駒村くんを唯一恐れない(らしい)彼女なら、知ってるかもしれない!
『駒村さん?…駒村さんじゃないのですか?』
「駒村でもうフルネーム!?」
『違うと思うゾ…』
ブルンゲルと首を傾げていると、ゾロアが溜め息を吐く。
暫く考えて、あ、と彼女が明るい声で言った。
『一番付き合いの長い方なら、知っているかもしれませんわ!』
「付き合いの長い…!」
『な、何だ!?』
お隣の幼稚園で、大量の園児に囲まれてる駒村くんのエンブオー。逞しい腕にしがみついて、若干興奮気味に尋ねた。
「エンブオーさんは、駒村くんが一番最初に逢ったんですよね…!」
『一番最初の犠牲者ではあるがな』
遠い目をするエンブオーに背伸びして声をかける。
「駒村くんの下の名前、知りませんか?」
『駒村………駒村!?彼奴の二つ名を探るとはつくづく大物だな…』
「そうですか」
エンブオーまで知らないなんて、やっぱり駒村くんは謎の多い人だ。
「エンブオーさん、駒村くんとずっと一緒だって聞きました」
『まぁ…そうだが…』
やっぱりそうなんだ。…いいなぁ。駒村くんはあまり自分のことは話さないから、ずっと一緒のエンブオーが羨ましいな。
「駒村くんって何が好きですか?絵って、やっぱり興味無いですか?」
『どうだろうな…たまにアーティのアトリエに行って、木の実を強奪してるが』
「オムライスはデミグラスソース派でしょうか…」
『意外とガキだったりするがな』
「水彩と油絵だとどっちでしょう」
『何だそれは』
「洗う時って上からですか?下からですか?…真ん中!?」
『名前と関係あるのかそれは!?』
「…はっ」
遅いゾと呟くゾロアの声が聞こえた。
適当に園児をあしらって困り顔でこちらを見つめるエンブオーに、ごめんなさいと笑った。
「ずっと他の町やポケモンのことばっかりで、駒村くんのこと知らないから知りたくって…わっ」
ふわりと浮遊感を感じたと思った途端、エンブオーに持ち上げられていた。
いつもよりずっと高い所から、羨ましげな園児達が見えた。真横には凛々しい表情のエンブオー。
彼なりの励ましだったのかもしれない。
初めて逢った時も、やっぱり彼は優しかった。
『…駒村は、よく町を見るようになった気がするな』
「え?」
エンブオーはフッと笑って、我が子を見守る父親みたいな、温かい眼差しで言った。
『人や、景色や、…あと、店の前になると歩くのが遅』
「見物するなら金払え~wwwww」
「ぅぎゃあ!!」
ズシャッ!!
さっきと同じ浮遊感があって、即座に襲ったのは衝撃と痛みだった。
重力に伴って落ちる途中見えたのは、冷や汗を掻いて消えてくエンブオー。
そして自転車を停めて、私の荷物片手の駒村くんだった。
「おしり…いたい…」
『マジキチィイイ!!嫁がせる気は無いがいくは嫁入り前なんだゾ!傷が付いたらどーしてくれんだぁああっ!!!!』
叫ぶゾロアに唇を歪めて、駒村くんは目だけ笑ってない黒い微笑を浮かべた。
「あんたさあ、プライバシーの侵害なんだけどお」
「…ば」
「バレバレwww」
こ、こうなったら…本人に聞いた方が確実かな…で、でも余計な詮索ウザいってチョップされたらどうしよう。名前呼ばれた回数よりチョップの方が多いよ、大体いつもだけど。
「教えてあげよっか~?」
「うんごめんなさ…え?」
完全なる謝罪体勢から顔を上げると、意地悪く口の端だけ上げた駒村くんが居た。
「別に教えてあげてもいいけどお?ww名前www」
「え、ほんとに…?」
「他言無用。呼ぶなら一年に一回。墓場まで持ってくこと」
世界崩壊パスワード並の使用条件を述べながら、ゆっくりこちらに歩いてくる駒村くん。
右腕を引っ張られてそのまま立ち上がる。よろめいて顔を上げると、物凄い近くに駒村くんの綺麗な顔があった。
元々身長は一緒くらいだから、本当に顔が目の前だ。
ぽふっと軽く音が出るくらい頬が熱くなった。な何で、何で。
驚いて下がろうとしても彼の左腕に掴まれたままで、あわあわと見ると、やっぱりニヒルな笑みを浮かべた駒村くん。
『いっ、いくぅうう!!!?やめろガキ!放せガキ!』
エンブオーの代わりに園児達の犠牲になったらしい、ゾロアの悲鳴が遠くで聞こえる。
駒村くんが、目を合わせたまますっと近付いて来た。
え、た、大変。大変だよ。
「こ、ここま、こま」
「うるさい」
エマージェンシー!エマージェンシー!
「一回しか言わないからちゃんと聞いてなよね」
唇に息がかかって、思わずぎゅっと目を瞑る。
くすっと小さな笑いがした。
もふ、と唇に柔らかい感触がして、同時に耳を掠めた少し低い声。
「 」
「……え」
目を開けると、見慣れたミミロル型のリュックが口元にくっついていた。
「何期待してんの~wwキっモwww帰るよ変態ww」
「へ…ぶっ」
駒村くんはそのまま私の顔に押し付けて歩き出す。
暫く茫然として、弾かれたように駆け出した。
「名前…もっ、もう一回…!」
「一回って言ったしwww」
「確認、確認するから」
「だめだめ~」
名字で呼べばいんでないと彼は振り返って言った。
「今の内に~?www」
『なっ…それは…!?言っとくがさせないゾぉお!!!!』
何故か飛びかかるゾロアをひらりと避けて、彼は帽子の鍔を下ろした。
何のことと聞いた時見えたのは、悪戯っぽく歪む唇だけだった。
「…さあ?」
Heart-warming Kiss-and-tell
一年に一回だけでも、うんと心を込めて、呼んでみよう。
心の中でそっと、練習してみた。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



覚悟してなよね。
「…ふわぁ…」
エルフーンみたいにふわふわ。
ムンナみたいにふわふわ。
『さいみんじゅつ』かけられたポケモンって、きっとこんな感じなんだろうなぁ…。
「…ぁ」
ぐらりと、視界が回った。
昨夜10時頃、電話だと少しだけ優しい彼の声で、うかれて夜更かしするなと釘を刺されたのに。
おやすみと声をかけて電話を切った(「はいはい」と切られた)後、ご機嫌斜めなゾロアを抱き締めて気付いたら2時間悶えていた。
手紙の返事(電話番号のみ)が来たこと。
行ってみたかった場所へ、ついででも連れて行ってもらえること。
明日死んじゃうのかと思うくらい幸せなフルコースだ。
それくらい嬉しくて嬉しくて、眠れなくて、だからきっと駄目だったんだ。
夜更かしが祟ってうとうとした次の瞬間には、するりと掴んでいた手が緩んでしまった。
あ、落ちる。
「…っ、いく!!」
「わ…ぐぇっ」
鋭い声にハッとする。
強い力で、スローモーションのような思考の海から引き摺り出された。
「く、くび、くび」
「黙れ」
リュックサックを引っ張られて首が、首が。
そんなものお構い無しと、乱暴に再びウォーグルの上に持ち上げられた。
ぐっと正面から抱き抱えられて、駒村くんの腕の中でぱちぱちと瞬きする。
さっき置かれていた状況と珍しく駒村くんが焦っていたことといやそれよりも駒村くんが助けてくれたことえ、違うよ、今私駒村くんのえ、え?
色んな情報が頭の中をぐるぐるして、何よりも色濃いことがぽんと浮かぶ。それが少なくとも私には大事件で、漸く出てきたのは何の意味も持たないただの音だった。
「…ぇ、」
「……あ」
怖い顔でチョップの構えをとった駒村くんが、一瞬、しまったと言う顔をする。すぐに苦虫を噛み潰したような顔になった。
「こま、こまむらくん、が、い、いくって言った…」
「…チッ」
名前、大声で呼ばれた。
いつも『あんた』ばっかりで滅多に呼ばれないから、時々忘れられているのかと思ってたくらいだ。
び、びっくりした。
だから?と駒村くんが見下してきた。
「何か文句あんの?落ちるの?死ぬの?てか何が嬉しいの?」
『いくぅうう!大丈夫か!?おいマジキチ!さっさと離れろだゾ!!』
…嬉し、かった。
ゆるゆると口元が弛んで、笑顔になるのを止められない。物凄く不機嫌そうな駒村くんに、ありがとうと笑いかけると、彼は綺麗に笑い返して言った。
「次落ちた時は笑って見送ってあげる~www」
「ぃぎゃっ!!」
結局チョップを2回も貰う羽目になってしまった。
「おばあちゃん、こいつ預けとくね~w」
「私人間だよ…!」
ヒウンシティからちょっとだけ離れた道路にある『育て屋』さん。
チェレンが言ってた通り、色んな所から預けられたポケモンがたくさんいる。すごいなぁ…。
駒村くんは手持ちを放して荷を軽くすると、自転車に跨がって出掛けてしまった。
ヤグルマの森を探索するらしい。
人懐っこいチュリネをスケッチしながら、頭の上のゾロアを呼ぶ。
日向ぼっこしていた親友から眠たげな返事がきた。
「…ちょっとは、仲良くなれたのかなあ?」
仲良くの相手は言わなくても分かったらしい、ゾロアは鼻を鳴らした。
『名前呼ばれる回数増えたくらいで何が嬉しいんだ。ボクなんか自己紹介した次の台詞でもう呼んでたゾ』
「駒村くんとゾロアは違うよー」
拗ねた姿が可愛くて笑うと、もふっとした尻尾で叩かれた。
『何だ!?ボクに呼ばれても嬉しくないのか!?いくいくいくいくいく』
「わあああ前髪もしゃもしゃはやめて!!」
『丁寧に寝癖直して気に入らないゾ!』
「いつも直せって言うのに…」
地面に降り立つと、ゾロアはつんと鼻を上に向けた。
『大体、互いを名前で呼んでこそ仲が良いと言えるものだ』
「え?だから駒村くんが」
『あのクズでウザくてキモくてマジキチでネチネチ系男子でヤンデレ予備軍の駒村は』
言い様が酷すぎる…!
ゾロアは一度言葉を切って、バシリと言い放った。
『明らかに名字だゾ!!!!』
……
………
「…はっ」
『名字でトレーナー登録しているヤツが稀に居るらしい。駒村がまさに該当者だ』
ゾロアはキリッとした顔で私を見上げた。
『いく、お前は未だ名字呼びなんだゾっ』
「こ、駒村くんの下の名前って?」
『ボクが知るわけ無いゾ』
当然だろうと逆に怒られてしまった。
…そう言えば彼は自己紹介の時も、駒村、って言っただけだったっけ。
「…名前…」
一度生まれた疑問はゆらゆらと広がって、スケッチなんてそっちのけでうんうん唸る。
暫くして見かねたのか、降参、とでも言うようにゾロアが溜め息を吐いた。
『どうせ本人に聞いてもはぐらかされると思うゾ。…きっとパパンなら知ってるはずだっ!』
ぱっと顔を輝かせて、駒村くんのゾロアークの元へ駆け出した。
『パパーンっ!』
『俺パパじゃないし子供持つような歳じゃないんだけど!?』
ミミロルとエモンガにからかわれてお疲れなゾロアークが、また来たと言わんばかりに飛び上がる。
ゾロアは弾んだ声で言った。
『パパン、いくのお願いを聞いてやれ』
『パパって呼ぶ割には偉そうだよ!?』
「ごめんね。あの、駒村くんの下の名前知らない?」
ゾロアークの後ろ髪の中で遊ぶミミロルとエモンガを引っ張り出して、聞いてみた。
駒村くんの名前に一度びくりとなって、ゾロアークは首を傾げる。
『えっ、コマちゃん?…コマちゃんじゃないの?』
「えっ、駒村コマなの?」
『違うと思うゾ…』
ゾロアの呆れた目で見つめられてパパン…じゃなかった、ゾロアークはぶんぶんと首を振った。
『下の名前なんて恐ろし…オレはそんなにコマちゃんのこと知りたくな…知らないしさぁ!』
「そっかぁ…」
ちょっとだけ残念。
「…あっブルンゲルさん!」
隅っこでムンナ(駒村くん曰くミニマムンナ)とのんびりしてるブルンゲル。物凄い凸凹コンビだ。
駒村くんを唯一恐れない(らしい)彼女なら、知ってるかもしれない!
『駒村さん?…駒村さんじゃないのですか?』
「駒村でもうフルネーム!?」
『違うと思うゾ…』
ブルンゲルと首を傾げていると、ゾロアが溜め息を吐く。
暫く考えて、あ、と彼女が明るい声で言った。
『一番付き合いの長い方なら、知っているかもしれませんわ!』
「付き合いの長い…!」
『な、何だ!?』
お隣の幼稚園で、大量の園児に囲まれてる駒村くんのエンブオー。逞しい腕にしがみついて、若干興奮気味に尋ねた。
「エンブオーさんは、駒村くんが一番最初に逢ったんですよね…!」
『一番最初の犠牲者ではあるがな』
遠い目をするエンブオーに背伸びして声をかける。
「駒村くんの下の名前、知りませんか?」
『駒村………駒村!?彼奴の二つ名を探るとはつくづく大物だな…』
「そうですか」
エンブオーまで知らないなんて、やっぱり駒村くんは謎の多い人だ。
「エンブオーさん、駒村くんとずっと一緒だって聞きました」
『まぁ…そうだが…』
やっぱりそうなんだ。…いいなぁ。駒村くんはあまり自分のことは話さないから、ずっと一緒のエンブオーが羨ましいな。
「駒村くんって何が好きですか?絵って、やっぱり興味無いですか?」
『どうだろうな…たまにアーティのアトリエに行って、木の実を強奪してるが』
「オムライスはデミグラスソース派でしょうか…」
『意外とガキだったりするがな』
「水彩と油絵だとどっちでしょう」
『何だそれは』
「洗う時って上からですか?下からですか?…真ん中!?」
『名前と関係あるのかそれは!?』
「…はっ」
遅いゾと呟くゾロアの声が聞こえた。
適当に園児をあしらって困り顔でこちらを見つめるエンブオーに、ごめんなさいと笑った。
「ずっと他の町やポケモンのことばっかりで、駒村くんのこと知らないから知りたくって…わっ」
ふわりと浮遊感を感じたと思った途端、エンブオーに持ち上げられていた。
いつもよりずっと高い所から、羨ましげな園児達が見えた。真横には凛々しい表情のエンブオー。
彼なりの励ましだったのかもしれない。
初めて逢った時も、やっぱり彼は優しかった。
『…駒村は、よく町を見るようになった気がするな』
「え?」
エンブオーはフッと笑って、我が子を見守る父親みたいな、温かい眼差しで言った。
『人や、景色や、…あと、店の前になると歩くのが遅』
「見物するなら金払え~wwwww」
「ぅぎゃあ!!」
ズシャッ!!
さっきと同じ浮遊感があって、即座に襲ったのは衝撃と痛みだった。
重力に伴って落ちる途中見えたのは、冷や汗を掻いて消えてくエンブオー。
そして自転車を停めて、私の荷物片手の駒村くんだった。
「おしり…いたい…」
『マジキチィイイ!!嫁がせる気は無いがいくは嫁入り前なんだゾ!傷が付いたらどーしてくれんだぁああっ!!!!』
叫ぶゾロアに唇を歪めて、駒村くんは目だけ笑ってない黒い微笑を浮かべた。
「あんたさあ、プライバシーの侵害なんだけどお」
「…ば」
「バレバレwww」
こ、こうなったら…本人に聞いた方が確実かな…で、でも余計な詮索ウザいってチョップされたらどうしよう。名前呼ばれた回数よりチョップの方が多いよ、大体いつもだけど。
「教えてあげよっか~?」
「うんごめんなさ…え?」
完全なる謝罪体勢から顔を上げると、意地悪く口の端だけ上げた駒村くんが居た。
「別に教えてあげてもいいけどお?ww名前www」
「え、ほんとに…?」
「他言無用。呼ぶなら一年に一回。墓場まで持ってくこと」
世界崩壊パスワード並の使用条件を述べながら、ゆっくりこちらに歩いてくる駒村くん。
右腕を引っ張られてそのまま立ち上がる。よろめいて顔を上げると、物凄い近くに駒村くんの綺麗な顔があった。
元々身長は一緒くらいだから、本当に顔が目の前だ。
ぽふっと軽く音が出るくらい頬が熱くなった。な何で、何で。
驚いて下がろうとしても彼の左腕に掴まれたままで、あわあわと見ると、やっぱりニヒルな笑みを浮かべた駒村くん。
『いっ、いくぅうう!!!?やめろガキ!放せガキ!』
エンブオーの代わりに園児達の犠牲になったらしい、ゾロアの悲鳴が遠くで聞こえる。
駒村くんが、目を合わせたまますっと近付いて来た。
え、た、大変。大変だよ。
「こ、ここま、こま」
「うるさい」
エマージェンシー!エマージェンシー!
「一回しか言わないからちゃんと聞いてなよね」
唇に息がかかって、思わずぎゅっと目を瞑る。
くすっと小さな笑いがした。
もふ、と唇に柔らかい感触がして、同時に耳を掠めた少し低い声。
「 」
「……え」
目を開けると、見慣れたミミロル型のリュックが口元にくっついていた。
「何期待してんの~wwキっモwww帰るよ変態ww」
「へ…ぶっ」
駒村くんはそのまま私の顔に押し付けて歩き出す。
暫く茫然として、弾かれたように駆け出した。
「名前…もっ、もう一回…!」
「一回って言ったしwww」
「確認、確認するから」
「だめだめ~」
名字で呼べばいんでないと彼は振り返って言った。
「今の内に~?www」
『なっ…それは…!?言っとくがさせないゾぉお!!!!』
何故か飛びかかるゾロアをひらりと避けて、彼は帽子の鍔を下ろした。
何のことと聞いた時見えたのは、悪戯っぽく歪む唇だけだった。
「…さあ?」
Heart-warming Kiss-and-tell
一年に一回だけでも、うんと心を込めて、呼んでみよう。
心の中でそっと、練習してみた。
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覚悟してなよね。
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